当日編

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聞こえない! 音声トラブル対策

聞こえない!音声トラブル対策

オンライン研修を実施する際に最も多いトラブルの一つが音声の不具合です。参加者が講師の声を聞き取れない、音声が途切れる、エコーが発生するなど、音声トラブルは研修全体の質を下げる原因となります。 マイクからの音声を配信用PCにスムーズに入力し、オンライン参加者にクリアに届けるためには、適切な機材の接続と設定が不可欠です。ここではハイブリッドセミナーの会場でのマイクと配信用PCの設定手順を説明します。

マイクの設置と接続

マイクの種類と設定場所
ラベリアマイク(ピンマイク):講演者が自由に動けるように、胸元や襟にクリップで固定します。ピンマイクを使う場合は、スピーカーから距離を保つことでハウリングを防止します。
ハンドヘルドマイク:会場の参加者が発言するQ&Aセッションなどに使用します。手持ちマイクは、適度な音量を保ちつつ、話し手の口元から適切な距離(約5~10cm)に保つように指導します。
マイクから音響卓(ミキサー)への接続
ケーブル接続:XLRケーブルを使用し、各マイクを音響卓のインプット端子に接続します。ピンマイクやハンドヘルドマイクにはワイヤレスのものも多く、ワイヤレシーバーを使用する場合は、レシーバーを音響卓に接続します。
音量確認とゲイン調整:音響卓で各マイクのゲイン(入力レベル)を適切に調整します。リハーサルで話し手の音量を確認し、適切なレベルに設定します。

音響卓(ミキサー)から配信用PCへの音声入力

配信用PCに音声を送るには、音響卓とPCの接続が重要です。音響卓の出力を配信用PCに入力することで、会場で収音した音声をオンライン配信に利用できます。

音響卓からPCへの接続手順
オーディオインターフェースの使用:多くの配信用PCにはプロフェッショナルなオーディオ入力がないため、音響卓とPCの間に「オーディオインターフェース」を挟むのが一般的です。音響卓のラインアウトからオーディオインターフェースに接続し、インターフェースをPCのUSBポートに接続します。
オーディオインターフェースの設定:インターフェースがPCで認識されると、PCのサウンド設定でインプットデバイスとして選択します。オーディオインターフェースの出力レベルを調整し、PCで音量が適切であるか確認します。
ミキサーの出力レベル設定:音響卓側で、PCに送信する出力の音量を確認し、過大入力にならないように調整します。出力レベルが高すぎると、PC側で音が割れる(クリッピング)原因となるため、適切な音量レベルを維持します。

配信用PCの設定とソフトウェアの準備

配信用PCでは、マイクからの音声と映像を配信プラットフォームに送信します。安定した配信環境を構築するために、ソフトウェアとオーディオ設定を正確に行います。

配信用PCの安定性確保
ネットワーク接続の確認:配信用PCは安定したインターネット接続が必須です。有線LANを使用し、帯域幅が十分確保されていることを確認します。
PCのリソース管理:配信用PCは配信ソフトや映像編集ソフトを同時に稼働するため、CPUやメモリの使用率をモニターし、不要なプログラムを終了しておきます。また、配信中にPCの動作が重くならないよう、事前に設定を調整しておきます。

リハーサルと音声トラブル対応の準備

リハーサルは音声トラブルを防ぐために必須です。マイクの位置や音量調整を確認し、ハウリングが発生しないか、オンライン参加者にクリアな音声が届くかを事前にテストします。

リハーサルでのチェック項目
音響テスト:マイクごとの音量を確認し、音響卓でバランスを調整します。特に、複数のマイクを使用する場合は、全体のバランスがとれているか確認します。
配信用PCでの確認:配信ソフトウェアのプレビュー画面で音声が正常に入力されているか、音割れやノイズがないかを確認します。また、音量が適切か、他の音源と混在した場合でも音質が確保されるかをテストします。
オンラインテスト視聴:実際にオンラインでの視聴環境をシミュレーションし、オンライン参加者に音声が問題なく届いているかを確認します。リハーサルでは、できるだけ実際の配信と同じ環境を再現し、参加者側の音声品質を確かめます。